ラーメン鉢いっぱいの油

花園に「とら家」というラーメン屋があります。熊本ラーメンの店なのですが、ここのラーメンはとにかく「あらくたい*1」。豚骨を力任せの強火で旨味も雑味もいっしょくたに煮出したスープは、本場の九州ラーメンがお上品に感じられるようなシロモノ。しかしこの強烈なスープにハマる人もいて、とにかく評価が真っ二つに分かれるお店です。余談ですがここの大将、九州で修行したことがないそうな(笑)。
さてここからが本題。田町から入る細い路地に「とら家　田町店」という看板を発見したのは数年前のこと。「あー、花園の店の支店ができたんか」と思い、華麗にスルー(ぉぃ。それから食べる機会もなかったのですが、今回ご隠居に誘われて行って参りました。取材拒否の店らしく、ネットにもほとんど情報が出てないため実力は未知数。かろうじて得た情報は「一見さんお断りの黒ラーメンというのがあるらしい」。店に入ってまわりを見渡すと、レギュラーメニューの表示から少し離れた所に「黒ラーメン」と書かれた貼り紙を発見しました。そこに書かれていたのは、白湯ベースの白ラーメンとネギ油を使った黒ラーメンの２種類。どらちも「油が多い」との注意と、１日10食限定の添え書きがありました。一見さんお断りではなかったので、迷わず黒ラーメンを注文。程なくして出てきたラーメン鉢を見て愕然とする私。そこにはスープではなく、なみなみと油が入れられていました。「油そば」は何度か食べたことがありますが、あれは少量入った油を麺に絡めて食べるもので、こんなに大量の油が入っているのは聞いたことがありません。おそるおそる一口食べてみると…なんとウマイじゃないですか。確かにこってりしていますが、見た目よりずっと控えめな味。油に見えた物は、スープと油を混ぜたもののようです(ものすごく油の割合は多いですが)。味が良く絡む極細麺がベストマッチ。ネギの香ばしい薫りに後押しされて、一滴残らず食べ尽くしてしまいました。次はぜひ「白」に挑戦したいと思います。

*1:讃岐弁で粗野・乱暴という意味